March 11, 2012
日本の未来について話そう

本書、「日本の未来について話そう」は東日本大震災をきっかけにして、マッキンゼー・アンド・カンパニー (McKinsey)日本支社が、多くの有識者による寄稿文を編んだものである。そのため、お涙頂戴論ではなく、現実的にどのような戦略、戦術を多くの日本人が取るべきかという議論が書かれている。識者によっては、傷口に塩をヌリヌリしている場合もあるが、主には良薬の処方箋が書かれている。

日本の課題は非常に多いが、課題が多いということは持っている資産が多いということであり、課題先進国という称号が与えられていることは名誉である。

日本の最優先課題は環境に優しい社会を創ることである。なぜなら、現状のままでは、人類は地球に住めなくなるからである。そこで現実的にどのような方法でそれを実現すべきかということを考えると、国際化とIT化が重要な鍵を握る。ただ日本の課題は世界の先進国の課題でもあり、日本のみが環境に優しい社会になっても、効果は限定的である。つまり日本が更に世界に人々のために働き、世界が環境に優しい社会になることで、課題先進国としての役割を果たしたと言える。

国際化という観点では、p178〜 ロバート・ホワイティング氏(作家)「野茂効果」が参考になる。

野茂英雄氏が日本の窮屈な野球界からメジャーリーグ(MLB)に飛び込み、成功したことで、日本のあらゆる世代のアスリートたちが、自分たちも海外で実力を試したいという気持ちが芽生えたという「野茂効果」は、野球界を超えて、ビジネス、科学、芸術など様々な分野に及んだ。(p.178参照)

しかし野茂氏が実際に米国に渡る時には、マスコミ、なんちゃって有識者からは非難が続出したのである。しかしその当時の日本のスポーツ界には、国際的に評価の高い選手はいなかったのである。野茂氏はそのような現状をたった1代で打開したのである。(p.179参照)

野茂氏が取り組んだこと自体は、今までしていた野球をメジャーリーグ用にアレンジしつつ継続して取組むということであった。今のサッカー選手がしていることも同様である。ビジネスやその他の活動においては、それらほど容易に海外展開できることではないが、彼らの取組みから参考になる点は多いだろう。

話は少し変わり、日本の野球界はいまだ閉鎖的で、利益がアメリカに比べて低い状況にある。メジャーリーグよりもとは言わずとも、同等の利益体質にならなければ、優秀な選手は全てメジャーリーグに流れてしまう。日本の野球界がマイナーリーグであっても問題ないのであれば、利益が低くても良い。しかし多くの野球関係者はそう思ってはいないだろう。つまり、優秀な選手は日本で活躍して欲しいが、チームの経営方法、運営方法は従来通りに行いたいという身勝手な思考をお持ちだろう。

メジャーリーグに対抗できるだけの投資をするか、マイナーリーグで存続するかという判断が日本の野球界には突きつけられているのが現状である。「喝」というシール遊びをしている場合ではなく、映画「マネーボール」以上の新しい取組みが必要なのである。

スポーツはあらゆる人に影響を及ぼす。日本の野球界が上手くメジャーリーグに進化すれば、日本全体も進化できる可能性が高まる。多くの球団がオーナーが交代していることで、単に財布が変わるのみならず、野球界の経営が進化することを多少望んでいる。

December 2, 2011
中田宏 「政治家の殺し方」

本書、政治家の殺し方は、自浄作用の働かない環境が人を「鬼」にする様子と原因がまとめたものである。事実無根のスキャンダル記事、足をひっぱることしかしない議員発言、反社会的組織による迷惑な街宣車活動、市役所職員による脅迫メール(実名入り)等、自分の身の安全が確保され過ぎた人が、反社会的で、反建設的で、非常識な行動を取り、そのおかしさにご自身が全く気がつかないようになってしまっているのである。

そのような「鬼」の行動は、「人間」と「人間」の社会的信用を著しく傷つける。事実無根であってもマスコミが延々と報じることであれば、「もしかしてその報道は正しいのかも?」と多くの人が思うようになるだろう。そして後に記事が事実無根であったと裁判所等で証明されても、その証明された事実を知る人は極めて少ない。なぜなら、マスコミはそれを大々的に報じないからである。また多くの人の注意・関心は別のものに移っているからである。

「悪貨は良貨を駆逐する」を本書に照らして言い換えると、「鬼は人間を駆逐する」ということになるだろう。

「鬼」の事例として注目すべきものは、市役所職員による一部賃金取戻請求による訴訟である。p.127

職員の通勤定期は、法令により1ヶ月単位で支給されていた。しかし6ヶ月単位の支給の方が、6ヶ月単位の定期を買うことになり、割引が大きくなり、経費削減になる。また人事異動は年1回なので、定期を6ヶ月単位に変更しても問題はない。

しかし、6ヶ月単位の支給に変更したら、1人の職員から反対された。なぜか? 多くの職員は1ヶ月単位の支給にかかわらず、6ヶ月単位の定期を購入し、差分を「お小遣い」にしていた。そのお小遣いがなくなるために、1人の職員が反対したからである。しかもそのお小遣いのために訴訟までしたのである。

もちろん、約3万人の職員もいれば、数十人ほど、まともではない人がいても不思議でない。しかし職員がいかに不合理なことで市長を訴えてもその職員がクビにならないという環境だったからこそ、上記のような訴訟は成立したのである。

人が安心して、目の前のことに集中できるためには、安全な環境が必要不可欠である。しかし、安全過ぎる環境は人を「鬼」にするのである。また安全過ぎる環境は他者の犠牲に成り立つことが多い。安全過ぎる環境が当たり前の「鬼」にとっては、その環境を破壊する者は侵略者であり、排除すべき存在と映る。そして他者への犠牲は拡大するのである。

本書では「鬼」退治の方法があまり書かれていないが、方向性として個人、民間、地方、国家のあらゆる意味において「自立」することが提唱されている。p.193 逆に現在としては、国家はアメリカ依存で、地方は国依存、民間や個人は公的依存なのである。

他者が自分のために何かをしてくれるという期待から始まり、期待が膨らみ、依存が生まれる。その依存が過度になると、依存体質になり、自発的な行動をすることができなくなる。そこで、そのような負の循環を断ち切ることこそが、今の政治家に求められていることである。

浦島太郎の鬼退治は昔話だけでなく、現在の話でもあるのだ。

May 6, 2011
村瀬健 ”楽しく生き抜くための笑いの仕事術”

人生初めて、著者から頂戴した本。大変感謝しております。しかし、レビューが遅くなり、大変、大変、めちゃ大変、失礼しました。ホントに。

自分と感性が違ったり、相性がダメだったりする場合、どう乗り切ることができるのか。人生を切り開くためには必要不可欠な力である。そしてその力の大部分は “笑い” で構成されている。

最近挨拶を疎かにする人が増えているように感じる。挨拶の価値を理解していない。挨拶は人生を切り開くための行動である。人生を切り開く必要がないほど裕福であったり、満足されていたりするなら別かもしれないが、そのような人は限りなく少数だろう。

挨拶と同様に笑いも価値を一段低く見積もる人が多いようだが、M1等の取り組みにより、一定層の人々の認識は変わりつつある。挨拶も同様に、より多くの人がその重要性を認識する事業が多く展開されることが好ましい。

話が脱線したが、当事者同士が楽しく接している時には、会話の内容を気にする必要はあまりない。しかし、うまい関係を築けていない時に、本書のテクニックと考え方を用いれば、関係修復が実現できるだろう。

セクハラという言葉が日常的に言われ、訴訟や事件がマスコミで日常的に放送されている現在においても、セクハラは身近に存在する。その時にマジ顔で、”嫌です!” と言うことは法律上正しいが、セクハラをした人と継続的な関係にあるならば、Noの意思を笑いに包んで、やんわりと伝えることが好ましい。

是非ひとりでも多くの人が上手く人生を渡れることを願う。その時に本書は役に立つのである。

November 9, 2010
藤野英人『もしドラえもんの「ひみつの道具」が実現したら』 タケコプターで読み解く経済入門

本書は、

ドラえもんのひみつ道具にかこつけて、具体的事例を出しながら、知らず知らずのうちに経済や経営、投資についての理解が深まっていくこと (p.163)

を目的としている。

ドラえもんのひみつ道具とそれが普及した社会の状況説明から話が始まり、なぜそのような状況になるのかということを説明したり、現在の企業のなかでひみつ道具に近い商品を販売している企業を紹介したりというようにまとめられている。

話が少し変わるが、TV番組で「なぜ歴史の教科書はつまらないのか」が説明されていたことがあった。その理由の一つに、教科書が原始時代から始まるからということだった。つまり、現代人である我々から最も遠い存在についてから話が始めるので、興味が持てないということである。

逆に本書は、ドラえもんのひみつ道具から説明が始まってはいるが、現代人に密接した状況が説明されているので、「遠くの話」には思えない。

ドラえもんのひみつ道具は、現代の科学技術の限界を超えた画期的な新技術とイノベーションによる新製品であるため、良くも悪くも既存の社会にあらゆる影響をもたらす。例えばタケコプターができた結果、「じゃあ、空を自由に飛べる!」という楽観的なプラスの側面だけでは終わらず、空の交通事故が起こるというマイナスの側面が起こる。その結果、新たな規制が生まれ、空を自由に飛べる状態はすぐになくなるだろう。

しかし、空の交通事故が起こることで新たな保険が必要になり、保険会社が儲かるという別のプラスが生まれる。また空を快適に飛ぶための服が売れて、衣料メーカーが儲かるようになる。

新たな製品やサービスの発売、新たな出来事の発生等の変化が常にあらゆる人や会社に影響をもたらすわけではないが、ドラえもんのひみつ道具のような画期的な製品であれば、iPhoneやiPad以上に多くの人に影響をもたらすようになる。そこで、その変化をプラスになるように捉えることがまさにビジネスチャンスをつかむことであり、ビジネスチャンスについて考える楽しさを本書は伝えているのである。

p.s.

本書の解説部分を省略して、ドラえもんのひみつ道具が社会にどのような影響をもたらすのかを考えさせる学校のテキスト教材になれば、多くの学生が社会に興味をもつ大きなきっかけになり、面白いだろう。

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June 7, 2010
美月あきこ ”ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣”

お金持てぃにも様々なタイプがおられるが、どのサービスや商品にお金を支払われるか、どのような発想、行動様式をされているのかを知ることはライフハックとして参考になる。

多くの人がしてしまうこととは真逆のことをファーストクラスに乗るお金もてぃはされることが多い。本書で紹介される例としては、搭乗中に

  • ガツガツと仕事をしない
  • ペンを借りない
  • 食事をガツガツと食べない
  • 多くの荷物を持たない
  • 著名人を見ても騒がない

ということである。

なぜ、ファーストクラスに乗るのか? この答えをお金もてぃの皆さんは持っている。本書によると

ファーストクラスは疲れを癒し、目的地に到着してすぐにフル活動できるよう、体制を整える場所 p.32

なのである。つまり体制を整えるためだけに、ぽんっと大金を積むのである。つまり体制を整えるということには、数百万円の価値があると考える人がおられるのだ。

いくらお金もてぃでも頻繁に数百万円のワインは飲まない。しかし頻繁に200万円のフライトを利用する人がいる。お金の源泉が自分の頭脳や体力なので、当然と言えば当然である。

本書の教訓は、”体調管理=投資” だということである。